第43章 会場を驚かせる

その夜、南雲玲奈が香澄を連れて部屋へ戻って間もなく、横尾孝人も理玖を連れて帰っていった。

帰り道、理玖は忘れずに“いい子”の仮面を被る。

「おじさん、香澄ちゃんのあの絵……すっごく大事なものなんでしょ? だったら、ママに新しいの買い直させるか……弁償させてもいい? そうしたら、玲奈おばさんも僕に怒らないよね……?」

横尾孝人は柔らかく笑って返す。

「いらない。壊れたなら壊れたでいい。大した値段じゃないし、弁償も必要ない」

まるで痛くもかゆくもない口ぶりだった。

南雲玲奈が大げさに騒ぎ立てている――そんなふうにすら思っている。

心理カウンセラーでも治せないのに、絵が何になる。

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